Loading...

LOADING

消防署の査察で違反を指摘されることは決して珍しいことではありませんが、その内容が一般に公表される場合があることは、意外と知られていないのが実情です。これは消防法に基づく「違反公表制度」という仕組みで、建物の利用者や近隣の方々に対し、その施設の安全状況を正しく伝えることを目的としています。

以前は、建物関係者以外がその建物の消防法令違反の有無を知ることはできませんでした。しかし現在では、人命に関わるような重大な違反については、消防署のホームページ等を通じて、誰でも確認できるようになっています。

対象となる建物と違反

対象となるのは、飲食店やホテル、福祉施設など、不特定多数の人が利用する建物(特定防火対象物)です。特に、火災の発生を知らせる「自動火災報知設備」や、消火のための「スプリンクラー設備」が、設置義務があるにもかかわらず未設置である場合や、「防火管理」が適切に行われていない場合など、安全に直結する違反が公表の対象となります。

公表までのプロセス

ただし、違反が確認されても直ちに公表されるわけではありません。まずは消防署による行政指導が行われ、改善の機会が与えられます。それでも是正されない場合に、公表へと進む仕組みとなっており、事業者にとっては改善のための猶予期間が設けられている制度ともいえます。

さらに、重大な違反に対して「措置命令」や「使用停止命令」が出された場合には、施設の入口にその内容を記した標識が掲示(公示)されることもあります。この仕組みは、不特定多数が利用する建物に限らず、危険物を取り扱う施設なども対象となります。

公表による影響

一方で、実際に公表に至った場合の影響は軽視できません。利用者の不安を招くだけでなく、情報が瞬時に拡散する現代においては、企業の社会的信用の失墜につながるおそれもあります。

現場では、「知らないうちに違反状態になっていた」というケースも多く見受けられます。建物の用途変更により必要な消防設備が不足していたり、防火管理者が異動や退職により不在となっていたりといった、日常的な見落としが原因となることもあります。

こうしたリスクを防ぐためには、日頃から定期点検を確実に行うとともに、改装時などの節目には立ち止まって専門家へ相談することが重要です。

違反公表制度を単なる「取り締まり」として捉えるのではなく、建物の安全を社会全体で共有するための仕組みとして理解し、自社の管理状況を改めて確認してみてはいかがでしょうか。

【参考】公示をしなければならない命令

■ 防火対象物関係

  • 消防法第5条第1項(防火対象物の火災予防措置命令)
  • 消防法第5条の2第1項(防火対象物の使用の禁止、停止又は制限の命令)
  • 消防法第5条の3第1項(消防吏員による防火対象物における火災の予防又は消防活動の障害除去のための措置命令)
  • 消防法第8条第3項(防火管理者選任命令)※
  • 消防法第8条第4項(防火管理業務適正執行命令)※
  • 消防法第8条の2第5項(統括防火管理者選任命令)※
  • 消防法第8条の2第6項(統括防火管理業務適正執行命令)※
  • 消防法第8条の2の5第3項(自衛消防組織の設置命令)
  • 消防法第17条の4第1項(消防用設備等の設置維持命令)
  • 消防法第17条の4第2項(特殊消防用設備等の設置維持命令)

※ 消防法第36条第1項において準用する場合を含む。(防災管理関係)

■ 危険物施設関係

  • 消防法第11条の5第1項及び第2項(危険物の貯蔵取扱基準適合命令)
  • 消防法第12条第2項(製造所等の基準適合命令)
  • 消防法第12条の2第1項及び第2項(製造所等の使用停止命令)
  • 消防法第12条の3第1項(製造所等の緊急使用停止命令)
  • 消防法第13条の24第1項(危険物保安統括管理者又は危険物保安監督者の解任命令)
  • 消防法第14条の2第3項(予防規程の変更命令)
  • 消防法第16条の3第3項及び第4項(製造所等についての応急措置命令)
  • 消防法第16条の6第1項(無許可貯蔵等の危険物に対する措置命令)

消防・防災についてのご相談は、株式会社アドーズまで。